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中野 寛子; 柴田 裕司; 武内 伴照; 松井 義典; 土谷 邦彦
Proceedings of International Conference on Asia-Pacific Conference on Fracture and Strength 2016 (APCFS 2016) (USB Flash Drive), p.283 - 284, 2016/09
過酷事故時でも炉内の計測データを伝送可能な金属被覆無機絶縁ケーブル(MIケーブル)を開発している。本研究では、過酷事故時の環境を模擬したMIケーブル用シース材の耐食性を調べるため、選定したオーステナイト系ステンレス鋼SUS316及びニッケル基合金NCF600について、過酷事故環境を模擬した大気雰囲気(O雰囲気)、大気と水蒸気雰囲気(O/HO雰囲気)もしくは大気とヨウ素雰囲気(O/I雰囲気)中における耐食性を調べた。その結果、1000Cの条件では、NCF600よりSUS316の方が腐食速度は大きいこと、また、HOの添加によりO雰囲気より腐食速度が大きいことがわかった。一方、O/I雰囲気では、NCF600よりもSUS316の方が腐食速度が大きく、ヨウ素の影響によって腐食が促進されることを確認した。これにより、NCF600の方が想定される過酷環境における耐食性が高いことが示唆された。
山田 弘一*; 河村 弘; 長尾 美春; 高田 文樹; 河野 渉*
Journal of Nuclear Materials, 355(1-3), p.119 - 123, 2006/09
被引用回数:5 パーセンタイル:36.38(Materials Science, Multidisciplinary)ITERの冷却配管材料候補材であるSU316LN-IGを用いて、照射材と未照射材のレーザ溶接による接合材の曲げ特性を調べた。材料は曲げは未照射材を使用している接合材では未照射材部で発生し、照射材同志の接合材では溶融金属部及び熱影響部で発生する。しかしながら、曲げ発生か所が異なっても、溶接材の曲げ特性はほぼ同じような特性を示す。また、照射材と未照射材の組合せパターンや、溶接時の入熱方向と曲げ負荷方向の関係によって、曲げ特性が変化しないことが確認された。
山田 弘一*; 河村 弘; 土谷 邦彦; Kalinin, G.*; 長尾 美春; 高田 文樹; 西川 雅弘*
Journal of Nuclear Materials, 340(1), p.57 - 63, 2005/04
被引用回数:5 パーセンタイル:35.8(Materials Science, Multidisciplinary)ITERでのステンレス鋼候補材SUS316LN-IGを用いて、中性子照射された材料(照射材)と未照射の材料(未照射材)に加えて照射材同士,未照射材同士をYAGレーザー溶接法により接合した材料に対して中性子照射を行い、それぞれの機械的特性の評価を行った。その結果、照射材を用いた溶接材も、未照射材のみによる溶接材も、中性子照射後にはともに照射材相当の機械的特性であることを明らかにした。これは、溶融金属部を含む未照射材部分に中性子照射により照射損傷が再度発生するためと考えられる。一方、SUS316LN-IG材において、照射材が中性子照射され照射損傷量が0.3dpaが0.6dpaとなっても、引張強度は大きく変化せず、硬さ特性では、照射損傷量が0.3dpaの部位も照射損傷量が0.6dpaの部位も同等の特性であることから、照射損傷量が0.3dpaから0.6dpaの間では、照射損傷量が変わっても、SUS316LN-IG材の機械的特性に対する中性子照射効果は変化しないことを明らかにした。
菊地 賢司; 倉田 有司; 斎藤 滋; 二川 正敏; 佐々 敏信; 大井川 宏之; 若井 栄一; 三浦 邦明*
Journal of Nuclear Materials, 318(1-3), p.348 - 354, 2003/05
被引用回数:28 パーセンタイル:84.98(Materials Science, Multidisciplinary)流動鉛ビスマス条件で、オーステナイト・ステンレス鋼の腐食試験を3000時間実施した。試験材はSS316は外径13.8mmの管であり、最高温度450C,温度差50C,流速1m/sである。試験後、管を切断し、光学顕微鏡、SEM,EDX,WDX,X線回折により分析した。鉛ビスマスはドレン後も、配管内部に付着していた。流動条件下での腐食量は0.1mm/3000時間であり、内面は凹凸が激しい。高温から低温部に質量の移行が観察され、低温部にはFe-Crの結晶粒が析出していた。粒径は0.10.2mmであり、化学組成は鉄:クロムが9:1であった。これらの結果は、静的な腐食試験では観察されず、流動試験で始めて見出された。
菊地 賢司; 粉川 広行; 二川 正敏; 石倉 修一*; 神永 雅紀; 日野 竜太郎
Journal of Nuclear Materials, 318(1-3), p.84 - 91, 2003/05
被引用回数:16 パーセンタイル:71.11(Materials Science, Multidisciplinary)水銀ターゲットの開発では、圧力波の発生に関連して生じるピッチングが技術課題となっている。ピッチングはSHPBによるオフ・ビーム実験で見つかり、LANSCE,WNRオン・ビーム試験で確認された。ターゲット設計に生かすため、水銀中に生じる圧力を80MPaから減少させ、生じるピッチングの下限界値を見極める一連の試験を実施した。その結果、20MPa以下では実質的なピッチングによる損傷は明らかに限定された結果を得た。ピッチングによる形態は2つあり、小さな穴の生成と広範なへこみであった。小さな穴が生成される場合には質量の欠損が見られるが、へこみではそれが無いと観察された。
菊地 賢司; 倉田 有司; 斎藤 滋; 二川 正敏; 佐々 敏信; 大井川 宏之; 三浦 邦明*
日本機械学会2002年度年次大会講演論文集, p.273 - 274, 2002/09
加速器と未臨界炉を組み合わせた核変換実験装置では、核破砕ターゲットとして鉛ビスマスを用いる。高温で流動する鉛ビスマスの循環試験を3000時間実施し、オーステナイトステンレス鋼SS316のコロージョン・エロージョン特性を研究した。その結果、SS316材の腐食量は0.1mm/3000時間,Cr-Feの結晶粒が循環ループ内の低温部に析出することがわかった。試験温度は高温部で、450C,低温部で400C流速は1m/sである。鉛ビスマスは4NのArガスで封入し、酸素濃度は積極的に制御していない。
Von-Moellendorff, U.*; 前川 藤夫; Giese, H.*; Wilson, P. P. H.*
Fusion Engineering and Design, 51-52(Part.B), p.919 - 924, 2000/11
被引用回数:4 パーセンタイル:32.52(Nuclear Science & Technology)国際核融合材料照射施設(IFMIF)ではリチウムターゲットに40MeV重陽子を入射することによりD-T中性子源とは異なる中性子場が形成され、その中で15MeV以上の高エネルギー中性子は全体の15%に及ぶと予想されている。これにより、D-T中性子場では起こり得なかった多数の反応チャンネルが新たに開く。一方、現在ロシアでは150MeVまでの高エネルギー放射化断面積ファイル(IEAF)の評価が行われている。IEAFの断面積の精度を調べるために、ドイツ・カールスルーエ研究所のd-Li中性子源を用いて放射化実験を行った。核融合炉の構造材であるステンレス鋼316、F82H、純バナジウム及びバナジウム合金をd-Li中性子場において照射し、誘導放射能を測定した。解析をALARA放射化計算コードとIEAFを用いて行い、実験及び解析結果の比較からIEAFに含まれている放射化断面積の精度を実験的にテストした。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 和田 政行*; 前川 洋
Fusion Technology, 34(1), p.6 - 17, 1998/08
ITERの遮蔽設計で使われている輸送計算コードMCNP-4AとDORT3.1及び核データライブラリーFENDL/E-1.1の妥当性を検証するために、原研FNSで実施した大型のSS316体系を用いたバルク遮蔽実験の解析を行った。FENDLの次版に多くの核種が取り入れられているJENDL Fusion Fileを用いた解析も実施した。FENDL/E-1.1,JENDL Fusion Fileを用いたMCNP計算は、測定データと30%以内で一致した。DORT計算も、中性子175群、線42群のエネルギー構造で自己遮蔽補正をした多群ライブラリーを用いた場合にはMCNPと同精度で実験を再現することができた。FENDL/E-1.1,JENDL Fusion Fileを用いたMCNP-4A及びDORT3.1によるバルク遮蔽設計計算の精度は、厚さ900mmのSS316に対し30%以内であると結論できる。
秦野 歳久; 鈴木 哲; 横山 堅二; 鈴木 隆之*; 戸上 郁英*; 喜多村 和憲*; 黒田 敏公*; 秋場 真人; 高津 英幸
Fusion Engineering and Design, 39-40, p.363 - 370, 1998/00
被引用回数:20 パーセンタイル:81.49(Nuclear Science & Technology)本研究は、ITER遮蔽ブランケット第一壁部分を模擬して製作した高熱負荷試験用試験体を用いて熱サイクル試験を実施し、構造体の熱応力による疲労強度を評価することを目的とした。試験は平均熱流束5.0MW/mと7.0MW/mでそれぞれ1000サイクルと1500サイクルで実施した。試験を通して除熱性能に大きな変化は見られず、試験体外観も正常であった。この試験結果より構造体の熱応力による疲労寿命はステンレス母材の設計疲労寿命より長寿命であることが確認された。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 宇野 喜智; 和田 政行*; 前川 洋; 池田 裕二郎; 竹内 浩
Fusion Technology 1998, 2, p.1263 - 1266, 1998/00
ITERの遮蔽設計計算の妥当性を検証するために、SUS316遮蔽実験、SUS316/水遮蔽実験、ボイド効果実験、超伝導コイル模擬実験を原研FNSで実施した。実験体系は、直径1.2m,厚さ1.2mのテスト領域と厚さ0.2mのSUS316でできた中性子源反射体からできている。テスト領域の物質は実験毎に変更した。テスト領域内の0.91mの深さまで、ほぼ全エネルギーにわたる中性子スペクトル、線スペクトル、様々な反応率、線発熱率等の実験データを取得した。実験解析は、MCNP-4A,DORT3.1コード及びFENDL/E-1.1,JENDL Fusion Fileライブラリーを用いて行った。その結果、ITERの基本性能段階でのバルク遮蔽設計計算の精度が30%以下であることがわかった。
前川 藤夫; 今野 力; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 和田 政行*; 宇野 喜智; Y.M.Verzilov*; 前川 洋
Fusion Technology, 30(3(PT.2B)), p.1081 - 1087, 1996/12
国際熱核融合実験炉ITERで使われようとしているSS316と水で構成される遮蔽体に対して、ITER/EDA R&Dのタスクの1つとして14-MeV値による遮蔽実験が原研FNSで行われた。本研究では、この実験の解析によりITERで用いられている遮蔽設計手法、つまり核データベースと輸送計算法、の妥当性評価を行った。核データとしてJENDL Fusion FileやFENDL/E-1.0を使用したMCNP計算では設計パラメータを20%以内の十分な精度で予測できる。しかし多群S輸送計算コードを使用する場合、従来の設計で使用されてきた粗いエネルギー群構造や無限希釈断面積の計算条件下では設計パラメータを数10%以上過小評価する傾向のあることが分かった。
土谷 邦彦; 河村 弘; 小山田 六郎
Journal of Nuclear Materials, 233-237(PT.A), p.218 - 223, 1996/00
被引用回数:9 パーセンタイル:62.07(Materials Science, Multidisciplinary)ステンレス鋼は、核融合炉の炉内構造物及び真空容器の材料として有望視されている。そのため、照射された材料の再溶接が、メンテナンス等を行う際に重要となる。本研究において、Tig溶接法により製作した接合材の引張試験、硬さ試験、金相観察及びSEM/XMA分析を行い、接合材の特性評価を実施した。再溶接試験片としてSS316材を用い、JMTRにおいて温度:250C、照射量:~1.410n/cmの条件で照射した。その結果、未照射/未照射及び未照射/照射試験片の引張強度は、未照射母材とほぼ同等であり、未照射材の部分で破断した。一方、照射/照射試験片の引張強度は、照射母材と比較して小さく熱影響部で破断した。この試験結果から、Tig溶接法による再溶接性に関する有望なデータを取得することができた。
前川 藤夫; 今野 力; 和田 政行*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 宇野 喜智; Verzilov, Y.*; 前川 洋
JAERI-Research 95-018, 112 Pages, 1995/03
国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動(EDA)の一環として、D-T中性子照射された大型SS316/水体系におけるバルク遮蔽実験が原研FNS施設で行われ、実験の詳細が本レポートの別刷である第1部に述べられている。本レポート、第2部では、この実験解析の方法とその結果、および計算結果と実験値との比較をまとめたものである。解析には2つの輸送計算コードMCNP-4とDOT-3.5、およびJENDL-3.1とJENDL-3.2に基づく断面積ライブラリを用いた。その結果、SS316/水遮蔽体の中性子、2次線の双方に対する遮蔽能について、JENDL-3.2を使用したMCNP計算、自己遮蔽を考慮したDOT計算(中性子125群+線40群)により、14MeV~熱エネルギーまでの中性子束、線核発熱を約20%以内の精度で予測できることがわかった。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 宇野 喜智; Verzilov, Y.*; 和田 政行*; 前川 洋
JAERI-Research 95-017, 71 Pages, 1995/03
94ITER/EDAのタスクとして、SS316/水複合系に対するバルク遮蔽実験を行った。この実験の目的は、D-T中性子に対するSS316/水遮蔽体の遮蔽性能に関する実験データを取得し、最終的に遮蔽設計裕度を導出することである。実験体系のテスト領域は、SS316と水の層状構造で、直径1200mm、厚さ1372mmの円筒形状をしている。i)MeV、keV、eVエネルギー領域の中性子スペクトル、ii)中性子放射化反応率、iii)核分裂率、iv)線スペクトル、v)線発熱率のデータを体系表面から体系内914mmの深さまで測定した。追加遮蔽体を付加することにより、914mmの深さでも実験室の壁反射バックグラウンドの影響の小さい実験データを取得することができた。以前に行ったSS316バルク遮蔽実験結果との比較から、SS316中の水の遮蔽性能に及ぼす効果を調べた。実験解析は、別に第2部で述べられている。
池田 裕二郎; 今野 力; 前川 藤夫; 宇野 喜智; 大山 幸夫; 小迫 和明*; 前川 洋
Fusion Engineering and Design, 28, p.449 - 456, 1995/00
先の核融合中性子場における誘導放射能の実験解析の結果、放射化断面積データの不備のみならず、中性子スペクトル計算の不確定性が、放射化計算の予測精度の誤差要因であることが示された。そこでD-T中性子を入射したSS316の大型体系中の、特に14MeV以下熱中性子エネルギーに及ぶ低エネルギー領域の中性子が支配的な場での誘導放射能を測定し実験解析を行った。放射能の内、中性子源に近い領域では、14MeV中性子によるしきい反応の寄与が大きいが、深くなるに従って、(n,)反応の寄与が支配的になることが示され、中性子スペクトルが柔らかい場でのベンチマークデータとしての有効性が示された。誘導放射能計算コード、ACT4、REAC3、放射化断面積ライブラリー、JENDL-3,REAC3,FENDL/A1.1,EAF-3を用いて実験解析を行い、生成放射性核種ごとの測定値との比較を行った。
前川 藤夫; 今野 力; 小迫 和明*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 前川 洋
JAERI-Research 94-044, 143 Pages, 1994/12
国際熱核融合実験炉(ITER)の工学設計活動(EDA)の一環として、D-T中性子照射された大型SS316体系におけるバルク遮蔽実験が原研FNSで行われ、実験の詳細が本レポートの別刷である第1部に述べられている。本レポート、第2部は、この実験解析の方法とその結果、および計算結果の実験値との比較をまとめたものである。解析には2つの輸送計算コード、MCNP-4とDOT-3.5、およびJENDL-3.1に基づく断面積ライブラリを用いた。その結果、中性子、線の双方に対して次のことが分かった。(i)MCNPによる計算は数十%の範囲内で実験値を再現する。(ii)自己遮蔽補正因子を考慮したDOTによる計算値はMCNPの値と約20%以内で一致する。(iii)エネルギー群数による影響はさほど大きくない。(iv)自己遮蔽補正を考慮しないDOT計算ではMCNP計算に比べて実験体系深部での線核発熱を2~3倍過小評価する。
今野 力; 前川 藤夫; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 小迫 和明*; 前川 洋
JAERI-Research 94-043, 96 Pages, 1994/12
SS316は、ITER等の核融合炉次期装置の遮蔽材・構造材の最有力候補の一つである。94ITER/EDAのタスク(T-16)として、D-T中性子に対するSS316のバルク遮蔽性能を調べるベンチマーク実験を行った。実験体系は、直径1200mm、厚さ1118mmのSS316製円筒体系(テスト領域)で、D-T中性子源から300mmの位置に設置した(体系1)。また、核融合炉の中性子場を模擬するため、D-T中性子源の周りを厚さ200mmのSS316で囲んだ体系(体系2)も用いた。測定項目は、i)MeV、keV、eVエネルギー領域の中性子スペクトル、ii)中性子放射化反応率、iii)核分裂率、iv)線スペクトル、v)線発熱率で、体系表面から体系内914mmまで測定を行った。得られたデータを相互比較し、実験データの整合性、中性子反射体の効果を調べた。実験解析は、別に第II部で述べられている。
今野 力; 前川 藤夫; 岩井 厚志*; 小迫 和明*; 池田 裕二郎; 大山 幸夫; 前川 洋
JAERI-Tech 94-019, 43 Pages, 1994/10
93 ITER/EDA緊急タスクの一つとして、JA-3(バルク遮蔽実験:第1段階A「SS316とSS316/水実験の予備・本解析と準備」)が認められた。本レポートは、SS316とSS316/水実験の予備解析の結果をまとめたものである。SnコードDOT3.5と断面積セットFUSION-40を用いた解析結果から、SS316実験体系は、直径1.2m、厚さ1.1mの円筒形状で、厚さ0.2mの中性子反射体を付けたものがよいことがわかった。また、SS316/水実験では、SS316と水の非均質構造による遮蔽性能に対する影響は、30mmまでの厚さの水に対しそれほど大きくなかった。更に、実験室の壁で反射した中性子によるバックグランドを低減させるための方法をSnコードDOT-DDと断面積セットDDXLIB3を使って調べた。その結果、厚さ0.1m以上のポリエチレンの追加遮蔽体を設置したものが最も有効であった。これらの予備解析結果を基に、SS316とSS316/水実験のための最終的な実験体系の構成を決定した。
前川 洋
Proc. of the 8th Int. Conf. on Radiation Shielding, 0, p.15 - 24, 1994/00
ITERを代表とした次期核融合装置の遮蔽は分裂炉を対象とした研究では対応できない問題を含んでいる。遮蔽設計精度の向上のためには、次のようなD-T中性子源を用いたベンチマーク実験が必要である。(1)約1m厚の遮蔽体系での透過実験,(2)ダクト及びギャップストリーミング実験,(3)核融合環境での誘導放射能評価実験。超電導電磁石での核発熱は大部分は線によることから、実験上では線スペクトルや低エネルギー中性子スペクトルの測定が重要である。また、実験解析ではレイーエフェクトを除くため、モンテ・カルロコードの利用が不可欠であるものの、計算時間とメモリー量で問題を残している。設計裕度を最終的に与えるためには、モデル化の容易なベンチマーク実験と複雑形状の実際の装置の遮蔽設計をいかに結びつけるかが次の課題である。
前川 藤夫; 今野 力; 小迫 和明*; 大山 幸夫; 池田 裕二郎; 前川 洋
Fusion Technology, 21(3), p.2107 - 2111, 1992/05
ITER等の核融合次期装置の遮蔽設計で使用される安全係数の検証のために原研FNSの14MeV中性子源を利用して行われたバルク遮蔽実験の解析を行った。遮蔽体は厚さ1.12m直径1.20mの大型SUS16円柱である。解析には多群SコードDOT3.5とモンテカルロコードMCNPを使用し、核データセットにはJENDL-3から作成したものを使用した。解析の結果、しきい反応率と2MeV以上の中性子スペクトルでは両計算結果とも実験値との一致は良かった。keV領域の中性子スペクトル、Uの核分裂率、線スペクトル、線核発熱の結果はすべて似た傾向を示し、MCNPの結果は遮蔽体深部(深さ0.91m)まで実験値と数10%以内で一致したが、DOT3.5の結果は深部にいくほど実験値に対して過小評価の傾向がみられ、深さ0.91mの点では実験値の1/2~1/3と大きく過小評価した。